都立谷中霊園はもともと天王寺の境内の一部だったものが、東京府に移管され共同墓地となったもので、天王寺墓地と寛永寺墓地を合わせて谷中墓地という。

日暮里駅近くから巡ると、順天堂始祖の佐藤泰然の墓が谷中霊園甲新16号24側にある。1838年（天保9年）に両国薬研堀に順天堂の前身となる「和田塾」を開いた。1843年（天保14年）、佐倉藩主堀田正睦の招きでから現在の千葉県佐倉に移住し病院兼蘭医学塾「佐倉順天堂」を開設した。

佐藤泰然の墓（左写真）

松本良甫の墓

佐藤泰然の墓に並んで、泰然の息子良順が養子に入った松本良甫の墓もあった。

石黒忠悳の墓がさくら通り派出所の筋向いの谷中霊園甲3号8側。石黒忠悳は女医1号の荻野吟子の医術開業試験受験許可を与えるように内務省衛生局長の長与専斎に働きかけたことでも有名である。

写真左が石黒忠悳の墓、写真右が佐藤尚中の墓

佐藤泰然の養子、佐倉順天堂の佐藤尚中（さとうたかなか）の墓は、石黒忠悳の墓の近く谷中霊園甲9号1側。駐在所前交差点を西に約20m。ぎんなん通りに面する。尚中の墓石は、養父泰然のものよりかなり大きい。

高松凌雲の墓

高松凌雲は、15代将軍徳川慶喜の弟、昭武らとパリ万国博覧会に渋沢栄一ら同行した医師で箱館戦争では敵味方の別なく救護し、のちに貧民を無料で治療する同愛会を設立し、民間救護団体の前身と言われる同愛社を創立した。その活動は、吉村昭の小説「夜明けの雷鳴 医師高松凌雲」に詳述されている。墓は、谷中霊園乙5号2側。

写真左は青山胤通の墓、写真右は東大本郷キャンパス内の同氏の胸像

青山胤通（あおやま たねみち）は、東京帝国大学医学部を卒業しドイツ留学ののち、同大学教授となる。ペストが香港で流行した際に北里柴三郎とともにペスト菌を同定したことで有名。脚気の原因は細菌説を唱えていた。墓は、寛永寺谷中墓地。桜木2丁目(言問通り)側桜並木道から北に向かって霊園に入り、乙11号1側の裏手を右に折れた突き当たり。

二子玉川ステーションビル矯正・歯科

小児歯科担当　髙見澤 豊