歯の外形は使い続けることで咬合により摩耗していきますが、質的には硬くなっていきます。これを萌出後成熟といいます。萌出間もないエナメル質は無機質の占める割合は70%程度ですが、成熟したエナメル質では90%以上といわれています。口腔内では常に脱灰と再石灰化が繰り返されますが、脱灰時に結晶の格子不整(結晶の弱い部分)のみられる部分がダメージがみられ、再石灰化時にダメージを受けた部分が唾液中のカルシウムやリン、フッ素などにより修復され耐酸性が高まると考えられています。
象牙質も増齢的に変化します。象牙質表面から歯髄にむけて象牙細管という管が通っています。その数は1mm2当たり25,000~30,000本ともいわれています。象牙細管が萌出間もない歯では太いのです。歯の知覚過敏の症状は、露出した象牙質の象牙細管から刺激が歯髄に伝わるからです。知覚過敏用の歯磨剤などは象牙細管の管を塞ぐ作用があり、それにより刺激を遮断するのです。増齢的に細管内部にアパタイト結晶が沈着し細管は細くなっていきます。細管が細くなることで細菌の進入が防げたりむし歯の進行に対して抑制的に働きます。実際に象牙質の硬さも増すのでした。
また、象牙質の厚さも増齢的に増加します。内側に向けて厚さが増します。神経の入っている空洞を歯髄腔といいますが、歯髄腔が小さくなるのです。
萌出間もない歯は、エナメル質も幼若でやわらかく酸にも弱く、象牙質は薄くてやわらかいのでむし歯になると進行が速いので注意が必要です。
二子玉川ステーションビル矯正・歯科
小児歯科担当 髙見澤 豊