新刊の紹介「新編フッ化物をめぐる誤解を解くための12章+4つの新トピックス」を紹介します。といいますかブログの原稿書いたまま忘れてしまい。やや旧刊になってしまいましたが、ご紹介します。
ネットや一部書籍にはフッ素が有害で毒であるかのような記載をしたものも見受けられます。実際にクリニックでのフッ化物塗布やフッ素入り歯磨剤を避ける保護者の方も少なからずいらっしゃいます。
編者の眞木吉信先生は東京歯科大学教授でフッ素によるむし歯予防の専門家です。
一部を抜粋、要約して載せますと、
フッ化物のIQ、神経系統への影響は、上水道への0.7ppmのフッ化物添加ではIQを低下させることはなく、神経系統への影響はないと判断されています。反対論者たちが利用する「水道水フロリデーションが小児のIQを低下させる」との報告は、査読制度が伴った英文誌に掲載されたものではなく、論文の対象国が中国、メキシコ、インド、イランで栄養面や種々の環境因子が先進国のそれとはことなっているだけではなく、IQに影響されるとされる栄養状態や社会経済的因子やヨウ素の欠乏、地下水に含まれるヒ素や鉛の濃度などがまったく考慮されていなかった。2017年にメキシコの研究で「妊娠母体の高い尿中フッ化物濃度は、その母親から生まれた子どもの認知機能試験スコアがより低いことと関連していた」と結論づけていたが、飲用していた水は上水道で適正に調整されたものでなく、推奨基準の2倍以上のフッ化物濃度の天然水であり、加えてフッ化物添加の食塩も利用しており、推奨されない全身応用の複合利用であったと述べています。2006年米国環境保護局(EPA)から要請を受けた米国国立研究評議会はその報告書のなかで、反対論者の利用した中国研究は「有意性を評価できない」、「研究の質レベルを評価できなかった」と見解を表明し、科学的検証が十分でないことが示された。
「フッ素についての10の真実」のエビデンスレベルを検証する。発信元は“Fluoride Action Network”という米国の反フッ素団体で、さも真実らしく反フッ素語っているが、内容は恣意的で稚拙であると糾弾している。詳細は本書を読んでいただきたい。日本にも日本フッ素研究会や薬害オンブズパーソン会議といった組織が単独で、時には日本教職員組合や日本弁護士連合会と組んで意見書なるものを作成しているが、いずれも決して正しいとはいえないとしている。
フッ素の位置づけも欧米では栄養素として扱われており、日本のように薬物という扱いではないというのも興味深い。
二子玉川ステーションビル矯正・歯科
小児歯科担当 髙見澤 豊