11月12日(日)歯髄細胞バンク研修会に参加してきました。
乳歯や20歳未満の埋伏歯の歯髄細胞から幹細胞を取り出すことができます。幹細胞は万能細胞でいろいろな組織や臓器に変化させることが期待されています。
歯髄細胞バンクでは、抜歯された乳歯から歯髄細胞を取り出し、幹細胞を培養してストックして再生医療に役立てようとしています。将来の自分のために自分の幹細胞の保管を依頼する場合(有料)と遺伝の型(HLAの型*)が一致する方のために幹細胞を提供する場合(無償:献歯)が選択できます。
少し話が難しくなりますが、HLAの型についてもう少し詳しく説明します。骨髄移植の場合もHLAの一致が求められますが、HLAのA座、B座、C座、DR座という4座(8抗原)の一致する割合が重要だとされています。
1つの座に2つの抗原が乗っています。通常は父と母から異なるHLAを受け継いだヘテロ型ですが、父と母から同じHLAを受けついだホモ型(A座の2抗原が同じ、B座の2抗原も同じ、C座の2抗原も同じ、DR座も同じ)が国民の約2~4%にいます。ホモ型であれば4抗原が一致すればいいので、ホモ型のHLAをもつ幹細胞を作製することが理想的です。70%以上の国民への移植をカバーするには50種類以上、90%以上の国民への移植をカバーするには150種類以上のHLAホモ型幹細胞を確保する必要があると想定されます(図1)。
図1 左がヘテロ、右がホモで右の方が適合しやすい。
現在、歯髄細胞バンクでは国民の70%をカバーできるところまで幹細胞が集まっています。さらに幹細胞を集めるために献歯が必要なのです。
研修会では、交通事故で頚椎損傷した方に幹細胞を使った治療をして麻痺した足に知覚が戻ってきた例などが紹介されていました。You tubeで歯髄細胞バンクの動画検索するとみることできます。
当院での運用は、12月20日午後から予定しています。抜歯した乳歯は歯髄細胞採取後、返却可能ですのでお申し付けください。
*HLA(Human Leucocyte Antigen)はヒト白血球型抗原
二子玉川ステーションビル矯正・歯科
高見澤 豊