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医史跡、医資料館探訪記62 目黒寄生虫館を訪ねて

人類の病気との闘いの歴史のなかで寄生虫病の占める割合は決して小さなものではないと考え、目黒寄生虫館を訪ねることにした。二子玉川駅前から(黒02)目黒駅行きのバスに乗り大鳥神社前で下車した。大鳥神社前の交差点を渡り、目黒通りを乗ってきたバスの進行方向とは逆方向に緩い上り坂を進み2分くらい歩くと目黒寄生虫館がある。

目黒寄生虫館は医師で寄生虫学の権威でもある亀谷了(かめがい さとる)が私財を投じて設立した博物館である。国内外から集められた約300点の標本が展示されている。1階では「寄生虫の多様性」をテーマに、様々な動物群に属する多様な寄生虫の姿を標本や動画で紹介している。2階では、「人体に関わる寄生虫」というテーマで、寄生虫のライフサイクルや人間に感染した場合の症状、日本の寄生虫学研究の歴史などについて解説している。入館料は無料であり、施設の維持のため募金を募っていた。

1階展示室

どの標本びんもきれいに手入れされており、標本自体もきれいで美しいと感じた。

2階の寄生虫学者山口左仲の紹介コーナー

山口左仲(やまぐち さちゅう)は野生動物の寄生虫を研究し生涯で1,400種にのぼる新種の寄生虫を発見した孤高の寄生虫学者といわれている。晩年には、亀谷俊也(かめがや しゅんや)(当館二代目館長)を研究助手とし、ハワイ産魚類の寄生虫を研究した。その縁で、当館には山口の膨大な標本や資料が寄贈され、一部がここに展示してある。

山口左仲博士が愛用した顕微鏡
山口左仲博士の虎の巻、博士は論文の執筆に専念しスケッチは画工にさせていたという
2階の展示室、山口左仲博士の展示コーナーは写真右手にある

2階の展示パネルには、フィラリア症による陰嚢水腫の写真があり、睾丸が地面につくほど大きくなっていた。西郷隆盛もフィラリア症による陰嚢水腫であったといい、馬に乗れなかったときく。

現在では寄生虫病を気にして生活することは少ないが、公園の砂場で猫などが糞をすることで、子どもたちに寄生虫感染の危険性があることを考えると決して他人事ではないように思えるのであった。

二子玉川ステーションビル矯正・歯科

小児歯科担当 髙見澤 豊